製造業、町工場さん専門の山北社労士です。ヒヤリハットを改善します。

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事例6:
有給休暇の消化はいつ与えた分からすれば良いのか?

2年前に食品包装材の卸売業を始めたB社長から従業員の有給休暇について相談がありました。
従業員Cさんは、創業後まもなく雇用された方で入社後1年8ヶ月経っています。
そのCさんが、2日間の有給休暇を取りたいと言ってきました。
Cさんは、仕事への影響がないようにきちんと段取りを考えていたので、B社長も許可しました。

次の日に事務員さんから次のような質問を受けました。
Cさんは入社6ヶ月後に10日間の有給休暇が与えられ、5日間消化していました。
入社1年6ヶ月後の新たな11日間と、繰越分の5日間(10日−5日)を合わせて
16日間の有給休暇を持ってます。

事務員さんの質問:
「2日間の有給休暇は、新たな11日間と繰越分の5日間のどちらから消化したらよいのか?」
そんなことを聞かれてもB社長にもわからず、相談されてきたのです。

山北:「どちらから消化するか、就業規則、または、従業員と合意した決まりはありますか?」

B社長:「創業して2年位だし、就業規則どころか有給休暇のことも含めてきっちりまとめた決まりもないよ。 今までは有給休暇にしても最初に与えた10日間から消化しておけばよかったから。」

山北:「就業規則や決まりがないのであればどちらから消化するか、使用者である会社が決めることができますよ。 労働基準法にはどちらから消化しなさいとは書かれていませんから。」

更に「民法第488条第1項に債務者が同じ債権者に同一種類の債権がいく口もあるときは、支払人は支払いにあたりどの分の債務に充当するかを指定して弁済できる」とあります。

言い換えれば、同じ従業員に有給休暇がいく日もあるときは、使用者は有給休暇を与えるにあたり、新たな分と繰越分のどちらに充当するかを指定して消化できる、ということです。

山北:「Cさんの有給休暇まで、まだ日数がありますからそれまでにお伺いして説明いたします。」

B社長:「そうしてもらえるならお願いします。」
後日、会社を訪問して説明し、B社長にも納得してもらいました。

B社長:
「会社の決まりを作るのも大変ということがよくわかりました。 この際、就業規則をきちんとしたいのでお願いします。」と言われました。

今回は、創業して2年目であり、就業規則や決まりもなにもない状況だったので、有給休暇の消化を使用者が決めることができることで落ち着きました。

しかし、繰越分から消化されている会社が新たな分から消化することへ変更する場合は、不利益変更になりますので従業員全員の合意が必要になります。
ご注意ください。
 
有給休暇を支給するときに困ったら、下記表をご覧ください。

【年次有給休暇付与日数比較表】

毎年、年次有給休暇を5日消化した場合の付与日数を比較

★新たに発生した分から消化した場合★
勤続年数
@
A
B
C
D
新たな付与日数
繰越付与日数
(前年D転記)
付与日数
(@+A)
消化日数
繰越日数
(@−C)
6か月
10日
10日
5日
5日
1年6か月
11日
5日
16日
5日
6日
2年6か月
12日
6日
18日
5日
7日
3年6か月
14日
7日
21日
5日
9日
4年6か月
16日
9日
25日
5日
11日
5年6か月
18日
11日
29日
5日
13日
6年6か月
20日
13日
33日
5日
15日
7年6か月
20日
15日
35日
5日
15日
8年6か月
20日
15日
35日
5日
15日
 
★繰越分から消化した場合★
勤続年数
@
A
B
C
D
新たな付与日数
繰越付与日数
(前年D転記)
付与日数
(@+A)
消化日数
繰越日数
(A−C+@)
6か月
10日
10日
5日
5日
1年6か月
11日
5日
16日
5日
11日
2年6か月
12日
11日
23日
5日
12日
3年6か月
14日
12日
26日
5日
14日
4年6か月
16日
14日
30日
5日
16日
5年6か月
18日
16日
34日
5日
18日
6年6か月
20日
18日
38日
5日
20日
7年6か月
20日
20日
40日
5日
20日
8年6か月
20日
20日
40日
5日
20日
 
※注
D繰越日数の計算式は(A−C+@)ですが、(A−C)が1以上になった場合は、時効2年の規定によりその分は次年度に繰越できません。
そのため、前年度に付与された日数のみ繰越となります。